ハリウッド黄金期の代表作
私はこの映画を今まで何回見ただろう。「ハリウッド黄金期の代表作・不朽の名作」の評価は今もって不動だが、実際何回見ても、新しい感動があり、飽きるということがない。
私が初めてこの映画を見たのは最初のテレビ放映があった1975年10月。当時9歳だった私に理解するのは難しかったが、その映像美に圧倒され、スカーレットのドレスに憧れた。
次のTV放送は1979年。13歳だった私は、「スカーレットのように我儘放題でも(美人でなきゃだめだろうが)、アメリカでは億万長者の男に惚れてもらえるのか!」と、カルチャー・ショックを受けた。昭和の日本ではまだ「男から三歩下がるしとやかさがあり、いざとなったら強い母性で男を支える」のが女の鑑、みたいな雰囲気。「女らしくしないと、お嫁にいけませんよ」的な社会的圧力を感じていた私は、洋画世界に強く憧れた。
この映画に魅入られたのは私だけではない。放映翌日、クラス中の女子は「スカーレット派vsメラニー派」と「レット派vsアシュレー派」で盛り上がる。男子たちはわざと聞こえないふり。自分たちがどう頑張っても、レットのようなお姫様抱っこでお転婆女子を征服するのは無理と感じていたのかもしれない。
失礼ながら、大多数の中2男子に理解できる洋画は、『007シリーズ』や『STAR WARS』などのアクションやSF、または『ROCKY』のような明快なラヴ・ストーリーだったのでは? セクシャルな匂いばかりか、金銭問題も絡んだ大人の恋の世界は、かなりハードルが高かったろう。
そんな同級生男子たちをおきざりに、この映画を見た早熟女子たちは、数歩先の恋愛世界へ夢をはせた。「私も赤絨毯の階段をお姫様抱っこで持ち上げられ、めちゃくちゃになるほど愛されたーい!」
そんな映画のファンタジーが私たちを現実世界から乖離させ、やがて平成・令和の非婚化へつながったのかもしれない。
