夜間頻尿が増えたら、高血圧を疑う

「夜間頻尿」が心臓血管疾患に関係している場合もあります。健康に自信がある方でお酒の飲みすぎでもないのに、就寝後に尿意を感じて2~3回排尿するようになったら、昼間の高血圧を疑ってください。放置して突然の脳出血……などということもまれではありません。

また、すでに心臓病を治療した人や、治療中の患者さんに夜間頻尿が表れてきたら、心不全が進行しつつある可能性があります。先ほどもお話ししたように、心不全が進行してくると心臓のポンプ機能が低下して、体内に血液が十分に供給されなくなっています。

そうなると起立した姿勢で過ごしている時間が長い昼間は、重力によって血液が下肢に停滞します。心臓のポンプ機能がうまく働かず、血液を上半身まで十分に戻せないためです。

その状態のまま夜を迎え寝ようとして横になると、下肢に溜まっていた水分が循環して、腎臓への血液量が急激に増加します。すると尿がたくさんつくられるようになり、夜間頻尿が表れるのです。こうした体の仕組みがあるので、就寝中に起きてトイレに行く回数が増えたら、早い段階で心臓の検査を受けることをおすすめします。