2度のもらい事故からの経験
しかし、運転をやめるのは、交通事故を起こしてからでは遅い。
私は40代の時、自分は全く悪くないのに交通事故にあうという『もらい事故』の被害者に2度なった。
1度目は、私の右側の細い道から出てきた2000ccの車が大通りに出ようとしていたので、自転車に乗ったまま私は角で止まった。するとその車の運転手は私の方向を見ずに、私の方に曲がろうとして、自転車の前輪を押してきたのだ。
私は交通量の多い大通りに、自転車もろとも倒れてしまうので、左足をふんばり、満身の力でその車を抑え、首を捻り、自転車のハンドルを握っていた指を怪我した。
2度目は、タクシーに乗っていたら、前の車がいきなりバックしてきたのだ。右折と左折を間違えたので、後ろを見ずにバックしたのだという。
私は前からのムチ打ち症になった。アトランタに取材に行かなくてはならず、首を両手で抑えながら飛行機に乗り、写真撮影をするときはカメラが重くて手が震えた。
2度の事故ともに、保険会社からは「もう治ったでしょう」の電話がたびたびあり、それもストレスだった。払われた保険金は、痛みと苦労に対して、あまりにも少なかった。
入院しない怪我でも大変なのだから、大きな事故にあった被害者はどんなに苦しいことだろう。ましてや交通事故で命を奪われるのは痛ましすぎて、あってはならないことだ。
この2度の事故は高齢者の運転によるものではなく、運転していたのは若い人だった。
高齢者の運転は危ないと言われるが、年金が少なくて仕事を続けなくてはならず、その仕事に車が必要で、運転免許証を返納できない人たちがいるのも事実だ。
