歯周病菌がインフルエンザ重症化の「案内人」
歯周病菌のこの働きは、感染しやすくなるだけでなく、さらに2つの深刻な事態を招きます。
(1)歯周病菌が重症化への「案内人」に
歯周病菌は侵入したウイルスを、まるで城の間取り図を熟知しているかのように、奥へ奥へと誘導する「案内人」の役割も担います。これにより活性化されたウイルスは肺の細胞に容易にたどり着きます。
つまり、歯周病菌の行動が感染のきっかけを作り、さらにウイルスを体の奥深くにある肺細胞にまで誘導する「隠密」案内人となるのです。この二重の作用により、歯周病を発症している人は「インフルエンザに罹りやすく」「重症化しやすい」という2つの大きな弱点を抱えることになります。
(2)抗ウイルス薬も油断できない歯周病菌の「抵抗勢力」
歯周病菌は治療の段階でも、私たちに牙を剥きます。
インフルエンザの治療薬として使用される「タミフル」や「リレンザ」は、ウイルスが細胞から出て他の細胞に拡散することを邪魔することで効果を発揮します。これはウイルスの表面にある「ノイラミニダーゼ」という酵素をブロックすることで成り立ちます。
しかし歯周病菌が出すジンジパインなどの酵素が、この薬の作用を打ち消し、ウイルスの増殖を助長する可能性が専門家から指摘されています。
せっかく高額な薬を服用しても、歯周病菌の「隠密」行動によってその効果を十分に発揮できないとしたら、これほど悔しいことはありません。薬の服用は大前提ですが、その薬の効果を最大化するためにも、口腔内の環境を整えることは極めて重要です。