「歯みがきで出血していたが治った」人も危険

さて、ここまで読んで「私は歯周病でないから大丈夫!」と安心している方もいるかもしれません。しかし、これこそ、皆さんが陥りやすい最大の落とし穴なのです。

なぜなら、歯周病菌が「最恐の菌」と呼ばれる所以は、その進行も「隠密」だからです。

歯周病菌はその毒性で痛覚や嗅覚も麻痺させてしまいます。歯がグラグラになっても痛みを感じることができません。強烈な口臭さえも自覚できません。だから歯周病は「沈黙の病気」なのです。

しかし、歯周病の「隠密」行動は完璧ではなく、シッポを出すことがあります。それが歯磨きの際の「出血」です。でも多くの人にとっては、最も見落としがちなサインでもあります。

「以前は出血したけど、今は血が出なくなったから治ったのだろう」
「力を入れて磨いたから、歯ぐきを傷つけただけだ」

こうした自己判断は非常に危険です。歯周病で一度出血すると、自分の歯磨きだけでは絶対に治りません。もし最近、出血の量や頻度が減ったとしても、それは炎症が慢性化しているだけかもしれないので、安心できる根拠にはなりません。

この「沈黙の病気」が知らないうちに進行し、あなた自身やご家族が感染によるインフルエンザの発症や進行を容易にさせる「弱点」となっててしまっているかもしれないのです。