「死んだら損」より「生きている間の生活の余裕」

ただ、そもそも(1)の夫婦が2人で働いて25万円稼ぐにしても、65〜70歳の貯蓄取り崩しの300万円は必要です(予備も含めると、1000万円ほど欲しいところですが)。

また、2人で月に25万円はきついからゆったりと15万円くらいで働くとするなら、月に15万円足りません。その分を5万円節約しつつ5年で600万円の取り崩しをするのか、人によって判断が分かれるところです。

(写真提供:Photo AC)

(2)の年金繰下げにしても「繰下げしていて早めに死んだら損」という人もいます。

それはその人の考えとしてわからなくもないですが、私としては、実感とともに「死んだら損」より「生きている間の生活の余裕」を選びます。

85歳、90歳まで生きた時に、「お金がない」となるのは寂しいものですよ。

こうしたことを考えながら、「自分らしい老後」をつくるために、

・「いつまで」「どんな仕事で」働くか

・年金は何歳から受給し、どれだけ繰下げして増やすべきか

・繰下げ期間の生活費のために、どのくらい貯金しておくべきか

をシミュレーションして、準備しておくのが55歳から70歳の15年間です。

また、マネー総力戦型のいいところは、年金額を増やしているので、90歳以降も生きる「長生きリスク」に強いところです。年金なので、当たり前ですが終身でもらえます。

そのうえ、「年金」は、ある程度物価に合わせて上昇するので、「貯金」よりもインフレに強いのもいいところでしょう。