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体力がないせいで就職できず文筆家になった<終電を絶対に逃さない女>さん。20代ながら、初老みたいな体に、次々と降りかかる謎の不調。病院でも原因がわからず、筋力がないので疲れやすい。そんな「虚弱な」日常をSNSでつづったところ、似たような体質な人から多くの共感が寄せられました。「21歳で身体にガタがきた」という著者のエッセイ『虚弱に生きる』から一部を抜粋して紹介します。

自分の身体を取り戻す

去年の秋、体力向上のためにランニングを始めた。正確な距離や時間は測っていないが、ウォーキングに毛が生えた程度のスピードで十五分程度走っている。このくらいのスピードで走るのはランニングではなくジョギングと定義されていることは、だいぶ後になってから知った。 

このジョギングを毎日やったところ、膝痛が悪化してしまい、走れなくなった。 

健康になろうとして、かえって健康を損なったのだ。 

一週間ほど休んで膝の痛みがある程度引くのを待ってから、再開した。週三くらいなら膝を痛めないことがわかったので、さしあたり一日十五分×週三のペースで続けることにした。 

八分くらい走ったところで息が上がり、何か憑き物が落ちたかのように身体が軽くなる瞬間が訪れる。全身に血が巡り、冷えていた足の爪先まで温まる。これが走ったあと数時間は持続するので、もともとそこまで冷え症ではないのだが、冬になっても手足が冷えにくくなった。 

夏から続けていた卓球の頻度は週一に減らした。卓球とジョギングという有酸素運動によって、目覚めが多少良くなり、身体も軽くなり、肌や髪の調子も良くなったと思っていたのだが、年明けあたりからそれらの効果が薄れてきた。 

このように、健康に効果を感じたことを続けているうちに効かなくなってくることが、私にはよく起こる。もはや、私の意思に反して私の身体が不健康になりたがっているとしか思えない。 

急に痩せた気がしたのは、二月に入ったあたりだった。顔回りが少しすっきりして、洋服のウエストも少しゆるくなった。体組成計が置いてあるキッチンは冬のあいだ酷く寒く、裸で乗るのが億劫だったため測っていなかったが、埃を払って数ヶ月ぶりに乗った。体重は約一キロ減り、体脂肪率は約二%減り、骨格筋率が約一%増えていた。 

どうして痩せたのだろう。