計算ドリルを解くように絵の練習を

歌麿や写楽が描いた絵は、当時として革新的なものでしたが、それでも目や顔のラインは、ある程度決まっているというか、やはり“日本画らしさ”が備わっています。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

シンプルだからこそ、ちょっとでもズレると表情がガラッと変わったり、全く違うものになってしまう。同じ“線”を引いているつもりでも、その人となりが出てしまう、といえばよいのか。

日本画は、そもそも顔を構成するパーツが少なければ影もない。数少ない線だけで表情を表現していくのはとても難しく、精緻な表現方法なんだな、とあらためて感じていました。

ちなみに台本が上がってくるたび、演出や絵を担当されているチームの皆さんによる打ち合わせが行われ、それから自分のもとに練習するためのプリントが渡されます。描かなければならない絵が、計算ドリルのようにたくさん並んだ状態のものが(笑)。

そのプリントを何十枚も家に持って帰ってはひたすら練習する、という日々を送っていました。