(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)
2025年度大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。日本のメディア産業・ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物〈蔦重〉こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描いたドラマも12月14日の放送で最終回を迎えます。そこでクランクアップ後の感想を、『べらぼう』で天才絵師・喜多川歌麿を演じた俳優・染谷将太さんに伺いました。(取材・文:婦人公論.jp編集部 吉岡宏)

天才というイメージ

なぜか“天才”の役をいただく機会は確かに多くございまして…。今回いただいた役も天才絵師・歌麿です(笑)。

ただ“天才”って先天的なイメージがありませんか? 生まれ持った才能、みたいな。

実際、自分が今まで演じた何かに長けた人物は、そういった役柄が多い印象があります。

でも歌麿役は、絵師としての才能というものが見いだされる前の状態から始まった。なので、彼の才能が開花して世に広がって、歴史に名を遺す大先生へと成長していく過程を演じることは、同時に自分の中で大きな挑戦でもありました。過程を丁寧に演じなければ、大先生に見えないのでは…という思いもあったぶん、頑張りましたね。

「絵を描く役」をいただくことも多くて。

たとえば連続テレビ小説『なつぞら』ではアニメーターの役を、『バクマン。』という映画では漫画家の役をやったことも。『バクマン。』も吹き替えなしで絵を描いたんですが、浮世絵の筆はそれと全く世界が異なっていました。

日本画の筆はまったくごまかすことができない。

もちろん練習を重ねて、最初よりうまく描けるようになって、現場で褒めてもらうことも増えていったんですが、うまくなるに従って求められるハードルのほうもどんどん高くなっていきました(笑) 。