原因はビタミンB1の不足

そして脚気はビタミン欠乏症の一つで、ビタミンB1の不足によって心不全と末梢神経障害が起きる病気です。

心不全による足のむくみ、神経障害による足のしびれが起きることから「脚気」と呼ばれました。現在ではビタミンB1の重要性が広く認識され、脚気の患者数は大きく減少しています。

脚気というと、有名なのが、軍の食事を巡っての論争です。

明治時代、海軍は軍医総監・高木兼寛(1849~1920)の提唱した「食事改善説」に基づき、肉や野菜、麦飯を多く摂取しました。その結果、脚気による死者は大幅に減少し、海軍内での脚気問題はほぼ解決しました。

ところが陸軍は東京大学教授の緒方正規(1853~1919)が推す「細菌説」を採用し、食事改善を軽視しました。そのため、日清・日露戦争では脚気による死者が多数発生してしまいました。