つまり第1の転機は、渋谷の路上占い師の予言。第2の転機は和津夫人との出会い。「代々木公園の青空の下。空の天気と心の転機が訪れた」と、奥田さんが解説する。
――その頃、仕事もないのに毎月5万円前借りする僕をそろそろクビにしようとしてた事務所にまた前借りに行ったら、事務員の机に台本があるのが見えた。藤田敏八監督の『もっとしなやかに もっとしたたかに』の台本。
「これ読んでいいですか?」って断って、下の喫茶店行って読んで。「よーし」って事務所へ戻って、手紙書いて、「これ監督に渡してください」って事務所の社長に託したんです。
それでオーディションに行ったらなかなか好感触だった。後日、監督に呼ばれて行ってみたら、審査には通ってるけど主役じゃない。「それは嫌です!」って席立って土下座して、「この主人公は僕なんです!! お願いします、お願いします」って板の間に頭をこすりつけて。顔上げたら、なんか涙が出ていて。
その時、藤田監督の隣には根岸吉太郎助監督、長谷川和彦監督補とがいて、「わかった、いいから今日はもう帰れ」って言われて帰りました。
2日後、事務所の副社長から電話があって、「藤田組、主役あなたに決まったよ」って。それが夜の10時半くらい。和津さんと結婚して2ヵ月とちょっとの時ですから、抱き合ってジャンプを何回したかわかりません。(笑)