熊井啓監督作品では『千利休 本覺坊遺文』がもっとも印象深かった気がします。
――ええ、熊井さんの作品群に続けて出て、『本覺坊』までやったけど、俺って真面目な役ばかり演じてるな、と気づいて意図的にいったん熊井さんから離れたんですよ。
そこからは『ありふれた愛に関する調査』や『極道記者』などの主演をやっていたら、そこにまたチャンスが訪れる。それが神代辰巳監督の『棒の哀しみ』。
棒のようにくたばる男だと自分を見ているヤクザの話ですけどね、これが神代さんの遺作になりました。僕は熊井学校の教養課程を経て、大学院に入るような感じで行ったのが神代さんなんですよ。
これで主演男優賞も13個ももらったし、夢は叶ったので、何か違うことやりたいなと思って。かみさんに「俺、俳優やめて監督になる」って言ったんです。怒られるのを覚悟してましたが、怒られなかったです。(笑)

