中園ミホ
中園ミホさん(写真:本人提供)
連続テレビ小説『あんぱん』の脚本を手がけた中園ミホさんは、占い師としても活動してきた経験から、「60歳で運気は一巡して、2周目の人生が始まる」と語り、40代以降の人に向けて「新しい人生を恐れないこと」を勧めます。そこで今回は、そんな中園さんの著書『60歳からの開運』から抜粋し、再編集してお届けします。

自分のためには頑張れない。ささやかでも人のために頑張ってみる

なんとか運を掴んで脚本家になった私ですが、なってからもラクではありませんでした。当時は今よりも労働環境が厳しく、ドラマの現場では「脚本家を眠らせるな」などパワハラ一直線の言葉が当たり前のように飛び交っていました。本当にきつくて、毎回、「これを書いたら辞めてやろう」と思っていましたし、連続ドラマのお話が来ても、自分には無理と断ってしまっていたほどです。

そんな私が変わったのは、子どもを産んでからのこと。未婚の母でしたから、どうにか子どもを餓死させないように働かなくてはなりません。すると、自分のために頑張っていた時はすごく苦しく悩みも多かったのに、「この子を食べさせなければならない」となってから、それ以外のことがどうでもよくなりました。

今ここで頭を下げれば原稿料がもらえると思ったら頭を下げることもできましたし、ベビーシッター代を浮かせるために急いで仕事を片づけて帰ることもできました。「誰かのため」となると、人って頑張れるのだと思います。それまでこだわっていたものや執着、悩みからも解放された気がします。ずっと自分の夢の実現だけを原動力にしていたら、いつか心が折れてしまっていたと思います。

人というのは、自分の外側から来たもの、自分がコントロールできないもののおかげで、成長したり、変わったりできるのだと思います。私が子どもを産んでから楽になったのも、子どもって親が忙しい時に熱を出したり、ヘトヘトな時に大はしゃぎして眠ってくれなかったり、とにかく思いどおりにならない存在だから。

自分以外のものに振り回されることで、実は自分が鍛えられていく、そんな経験を出産によって得ることができました。