人は誰かのためになら頑張れる

残間 中園さんは結婚せず、一人で子どもを産んだということですけど、今になってどう受け止めていますか? 仕事に影響を及ぼしたということもありますか?

中園 子育てがうまくいったとも思えないのですけど、産んでよかったなと凄く思っています。私は本当に怠け者で、この人が子どもを産んで育てられるのだろうかと姉が心配していましたし、私自身も子どもを産むまで自分のことは好きじゃなかった。それまでは連続ドラマを引き受けちゃうと遊べなくなるので、まず断ると決めていて、単発のドラマしか引き受けなかった。でも子どもを育てていかなくてはと考えた時、そんなことは言っていられないので連続ドラマもお引き受けするようになったんです。

イメージ(写真提供:Photo AC)

残間 子育てをしながら脚本を書くのは大変ですよね。

中園 子育て中は第2期記憶喪失時代で、それくらい忙しかったのですが、子育て終えてみたら仕事から逃げなくなっているタフな自分に成長していました。やればできるじゃないと小さな達成感を得る度に、少しずつ自分のことが好きになっていったのです。こんな怠惰な自分でも誰かのためになら頑張れるんだなという発見もあって、だから子どもを産んだことは自分のためによかったと思えていますね。

残間 タフになって作品も変わりましたか?

中園 そうですね。『ハケンの品格』を書いた時に、取材として話を聞かせてもらった派遣さん達との飲み会を今もやっていて、放映から20年近く経ってみなさん50代とかになっているわけです。定期的に話を聞いてきて痛感するのは、派遣さん達はいつの時も明日がどうなるかわからないという不安の中にいるということ。だから彼女達と会うたびに、今日は嫌なことがあったけど、明日も会社へ行こう、明日も頑張ろう、と思ってもらえるようなドラマを書きたいという気持ちをいつも持っていますし、むしろどんどん強くなっています。

残間 いい話ですね。

中園 どんなドラマを書く時も彼女たちの顔がよぎっていて、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』もそう。だから大門未知子は一匹狼という設定にしましたし、あんなふうに組織に対して言いたいことを言う姿を見て、派遣さん達がスカっとしたと言ってくれたら、それが一番嬉しいんです。そこでもやっぱり自分は誰かのためになら書けるんだなと。それは自分がタフになったからというより、私自身が未婚で子どもを育てながら、生きていくのは本当に大変だと実感してきたからだと思っています。