2025年下半期(7月~12月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2025年10月17日)
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時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは北海道の60代の方からのお便り。近所のリサイクルショップで買った緑色のTシャツ。気に入って、いろいろな場面で着ていたら――。カッコいいTシャツ
家の近所のリサイクルショップがリニューアルしたので覗いてみた。今までCDのレンタルコーナーだった2階が、服やバッグ、靴のリサイクルコーナーに変わっていたので、何か掘り出し物はないかと見て回る。すると、素敵なデザインのTシャツがあるではないか。
私好みの緑色の生地に、クマのイラストが黒でプリントされていて、何やらコケティッシュでありながらカッコいい。これはいい物を見つけたと喜んで、さっそくレジに向かい、購入した。値段が500円というのも嬉しい。
お気に入りの一着となり、いろいろな場面で着用するように。スポーツクラブに買い物、散歩……。ある日、病院を受診したときにも着て行った。すると診察室で先生が突然、「僕もこのTシャツ持ってるんだ。走ったの?」と。私がキョトンとしていると「ほら、マラソンだよ」。それでやっと気がついた。このTシャツは、どうやらマラソン大会の記念品らしい。
黙っていると、先生はなおも私を問い詰めてくる。「え、走ってないの? じゃあ誰かにもらったの?」。私は言えなかった。「近所のリサイクルショップで、500円で買いました」なんて。だから小さな声で「はい」とだけ答えてごまかした。先生はどうやら完走したらしく、「懐かしいな。今はパジャマになってるけどね」と締めくくる。
調べてみると、「2021年○○トレイルマラソン」と英語で書かれていた。私の住む街で毎年開催されているマラソン大会だ。そのロゴが小さかったから気づかなかったんだ……という言いわけは、高校時代、英語の成績が2であった私には通用しない。顔から火が出そうになった。周囲の人たちには「そんな何年も前のマラソンを走ったことを、まだ自慢したいのか」と笑われていたのではなかろうか。
あまりに恥ずかしいので、この話は友人たちに喋って笑いをとるための鉄板ネタとして、かたきをとっている。