善玉菌が産み出す「短鎖脂肪酸」にも注目

さらに着目したいのは、ビフィズス菌が産出する酢酸の働きです。酢酸などの「短鎖脂肪酸」は、大腸を動かすエネルギー源となるだけでなく、多くの効能をもたらすことが、近年の研究でわかってきました。

「短鎖脂肪酸は、腸粘膜を丈夫にして、腸管のバリア機能をアップ。病原体や毒素の侵入をシャットアウトします。『O–157』の感染を抑止するという学会報告もありました。ほかにも、免疫力を調整する『制御性T細胞』を増やしてアレルギーを改善する、脂肪の蓄積を防ぎ肥満を抑える、糖代謝ホルモン・インスリンの分泌を助け血糖値を下げるなどの研究データがあります」

さまざまな手段を駆使して、私たちの健康のために働く善玉菌。ところが、善玉菌の多くを占めるビフィズス菌は、加齢とともに減少する傾向にあると言います。

「腸内の善玉菌を増やすには、乳酸菌やビフィズス菌が含まれる食品を積極的に食べることです。口から摂取した菌が腸に届くと、もともと腸にいるビフィズス菌を活性化してくれます。さらに、善玉菌の餌となる野菜、キノコ、海藻類などの食物繊維やオリゴ糖も一緒に食べると、善玉菌を増やすことができます」

悪玉菌が増殖する原因となる便秘も大敵。

「適度な運動で体幹を鍛え、腸の蠕ぜん動どう運動と排便力を高めてください」

次ページからは、乳酸菌とビフィズス菌の上手な摂り入れ方をお伝えします。

●ビフィズス菌と乳酸菌のちがい