少し前の話になりますが、その日、私は仕事先で不愉快なことが重なってドンヨリしながら帰路につきました。タクシーに乗り込むと、今度は女性の新人ドライバーが何度も道を間違える。イライラが募り、あやうく「あなた、何をやっているの!」と怒りを爆発させてしまいそうでした。
でもそのときふっと、彼女を追い詰めたところでしょうがない。動揺させて事故など起こされたら目も当てられないと思い留まり、「いったん車を止めて、少しリラックスしてから一緒に道を確認しましょうよ」と穏やかに提案したのです。
その後はスムーズに家に到着し、車を降りるときに彼女の顔を見たら、「すみませんでした。優しく接していただき、ありがとうございました」と言いながら泣いていて。
アレッ、なんだか私、いいことをしたみたいと思ったら気分が高揚し、最悪な日がいい日に早変わり。
人は苦しいと不機嫌になってしまいがちですが、そんなときほど人を喜ばせようと心がけていれば、良い運気が運ばれてくるのです。
<後編につづく>
中園ミホ
脚本家
東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務、コピーライター、占い師の職業を経て、88年にテレビドラマ『ニュータウン仮分署』で脚本家としてデビュー。徹底した取材を通じてのリアルな人物描写には定評があり、特に女性の本音に迫るセリフは多くの視聴者から共感を得ている。2007年に『ハケンの品格』が放送文化基金賞と橋田賞、13年には『はつ恋』『ドクターX ~外科医・大門未知子~』で向田邦子賞と橋田賞、25年には文化庁長官特別表彰を受賞。その他の執筆作に『For You』『やまとなでしこ』連続テレビ小説『花子とアン』大河ドラマ『西郷どん』『七人の秘書』『ザ・トラベルナース』など多数。25年は、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の脚本を担当。
また、占い師としての経験を生かして、エッセイ『占いで強運をつかむ』『強運習慣100 運をつかんで幸せになる』の執筆や、公式占いサイト『解禁! 女の絶対運命』(https://nakazono-miho.marouge.jp/)の監修も手掛ける。最新刊『60歳からの開運』が好評発売中