がんのリスクが高い患者
生活習慣や感染症、遺伝性がんなどの体質により、がんに罹りやすい人々、あるいは、がん検診などで、いわゆる「前がん病変」が見つかり、定期的なチェックが必要な人々である。
前がん病変とは、正式な医学用語ではなく、がんの発生母地となる病変や検査所見を指す。たとえば、比較的大きな大腸や胃のポリープからがんが発生する可能性がある。膵臓がんが発生する可能性がある膵管内乳頭粘液性腫瘍も経過を追わねばならない病変である。肺のCTスキャンで、初期の肺がんの可能性がある病変が見つかることがある。
腫瘍マーカーの異常値が認められた患者についても経過観察が必要で、前立腺がんの腫瘍マーカーPSAの高値が認められ経過観察を続けている患者は多い(PSAは前立腺がんだけでなく前立腺肥大症や前立腺炎でも高くなる)。医師は、こうした病歴や検査結果に基づき、患者に定期的な受診を求め、がんが発生していないかチェックしている。
感染症に関しては、下図表に示したとおり、肝炎ウイルスによる慢性肝障害由来の肝臓がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)持続感染からの子宮頸がん、ピロリ菌感染由来の胃がんなどが発生していないか確認するため、定期的な受診が必要である。
<『高齢者とがん-健康管理、診断・治療から心と暮らしのケアまで』より>
がんに罹りやすい生活習慣を持つ人々や特殊な発がん物質にさらされた人々も重要な対象である。喫煙者の肺がんや頭頸部がん、大量飲酒者での食道がんや肝臓がんなどが代表である。また、原子爆弾による被爆や放射線を長期に浴びたような状態から発生する様々ながんや、アスベスト由来の肺がんや悪性中皮腫も定期検査を受けることが勧められる対象疾患である。
