コートを持ち込んで査定してもらうオレシャさん(右)(撮影:本社・武田裕介)

この日、オレシャさんが持ち込んだ赤いコートは、7000円分のポイントに換わった。一般的なリサイクルショップに持ち込むよりも、ずっと高値がつく。ポイントは3年間有効なので、「欲しい着物が入荷するまで貯めておく」と、嬉しそうだ。

娘のミサコさんも、「普段の洋服はコレコーレで調達することが多い」というが、この店に通う目的は《モノ》以上に《人》とのつながりだという。

「片桐さんは、常連のお客さん同士をつなぐのが好きなんです。あるときは、『きっとあなたの将来に役立つから』と、政財界で活躍している方を紹介してくださったこともあります。ここに来ると、モノだけでなく、人脈や知識も増えていく。それが嬉しいんです」と、目を輝かせながら語ってくれた。

しばらくすると、「10年以上通っている」という男性の常連客が来店。インテリアや美術品、食器などを持ち込むという。

「現金で売るより、物々交換のほうが《付加価値》を感じます。リサイクルショップなら1000円の買取価格しかつかないモノでも、ここなら、それ以上の値打ちあるモノと交換できる」。

別の常連客も、「一度来たら1時間は出られない」「掘り出しモノに出合える」と口を揃える。

この店を訪れる人々に共通しているのは、愛着のある品を循環させることの喜びだ。

モノを介して出会いが生まれ、人が人をつなぐ。その価値は、まさにプライスレス。コレコーレの店内には、《お金を介さない豊かさ》が満ちていた。

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今回、3つの物々交換の現場を取材して、「真の豊かさとは何か」と問いかけられたように感じた。物価高の今こそ、私たちのモノとの関わり方を見つめ直す好機なのかもしれない。

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【ルポ】財布にやさしく、心にゆとりを生む物々交換
(1)作り手たちの豊かなつながり―― 藏光農園
(2)地域全体で循環を目指す―― 京都府亀岡市
(3)愛着のある品が集まる店―― 物々交換コレコーレ