
概要
旬なニュースの当事者を招き、その核心に迫る報道番組「深層NEWS」。読売新聞のベテラン記者で、コメンテーターを務める飯塚恵子、伊藤俊行両編集委員が、番組では伝えきれなかったニュースの深層に迫る。
高市首相の台湾有事に関する国会答弁を巡り、中国は日本への強硬姿勢を強めている。番組は昨年12月8日から5日連続で、中国の宣伝工作、外交・安全保障政策、経済政策、習近平国家主席の権力構造について、中国を長く見てきた各分野の専門家を招き、その実態と思惑に迫った。日本はどう向き合うべきか。出演した飯塚恵子、伊藤俊行両編集委員が語り合った。
強硬な中国日本の対処は
語り口に惑わされない
「習氏は以前から沖縄の歴史に関心を持っており、個人的に勉強してきたようだ。国家主席になってから、『ここだ』という時に、カードとして切っている印象がある」=小谷賢氏
「中国が台湾を侵攻するなら、台湾海峡の気候が安定する年2回の時期しかない。一つが3月から6月までで、その準備として、毎年10月から12月にかけて、大規模な軍事演習を行っているのではないか」=山下裕貴氏
飯塚高市氏の答弁以降、中国は沖縄の日本帰属に疑いを呈する報道を強めています。1日目は、いわゆる「琉球カード」で揺さぶりをかける中国の宣伝工作に迫りました。沖縄は、1951年のサンフランシスコ平和条約で米国の施政下に置かれた後、1972年に日本へ返還されました。日本への帰属を疑う余地はありません。
しかし、中国は2000年代から、首相の靖国神社参拝や沖縄・尖閣諸島の国有化に絡めて、「琉球カード」をちらつかせてきました。日大教授の小谷賢さんがおっしゃった通り、権力を握った習氏は沖縄へのこだわりをこれまで以上に強めています。習氏は沖縄や台湾に近い福建省で長く勤務しました。習氏は2001年、福建省長として沖縄県庁を訪れ、当時の稲嶺恵一知事と会談しています。稲嶺氏は翌年、福建省を訪問します。稲嶺氏は番組のインタビューで、習氏の沖縄への個人的な関心に注意を促しました。
もう一人のゲスト、ノンフィクション作家の安田峰俊さんは、中国があえて「琉球」という言葉を使う理由は、中国と交流のあった琉球王国を想起させるためだと指摘しました。主権は法的な事実から判断するもので、惑わされてはなりません。日本政府は沖縄県と連携して、県民の分断と混乱を防がなければなりません。さらに、沖縄に国際法上の問題は全くないことを、国際社会にきちんと伝えるべきです。
伊藤番組でテーマを掲げて連日特集を組むことは、これまでなかったと言います。日中関係は動いており、準備も大変でしたが、スタッフの意気込みを伝える放送になりました。
3日目は、中国の軍事的な威圧について、ゲストに元陸上自衛隊中部方面総監の山下裕貴さん、笹川平和財団上席フェローの小原凡司さんを迎えて、詳細な検討を行いました。お二人の話を聞いて感じたことは、中国の軍事的な能力の分析と併せて、その意図を見極めることの重要さです。
中国海軍などは昨秋、東シナ海、南シナ海、さらに太平洋に100隻を超える艦船を展開しました。小原さんは、演習は以前から計画されており、高市氏の答弁に呼応した動きではないとおっしゃいました。米国やその同盟国に対する力の誇示であり、米中の駆け引きという大きな文脈で見た方がよいのではないかというわけです。
私もそう思いますし、山下さんは台湾侵攻の準備と関連させる興味深い見方を披露されました。中国軍がどう動くかは、能力と意図のかけ算です。軍事的な能力に加えて、習氏の意図がそこに働きます。推し量るしかない難しさがありますが、一つ一つ丁寧に判断して備えなければなりません。