夢なんてなくても生きていける
話を戻そう。
夢を持つのが素晴らしいことであるのはその通りと思うし、夢を叶えようと行動することで人生に張りが出るのも事実。
人類がここまで発展してきたのも、あらゆる逆境にめげず「願望を実現したい」と夢を持ち続けてきた人がいるからこそとも言える。
そのうちマイナンバーカードに「夢」が紐付けられそうだ。しかし、素晴らしいことだからこそ、むしろ筆者は世間に「全ての人間に、夢を持たせようとしないでほしい」と訴えたい。
それを実現させるために努力して生きるべきだという「夢」は、誰もが叶えられるわけではない。
持って生まれた気質や、置かれた環境によっては、そもそも夢を持つことが難しい人だって少なくないはず。
さらに夢を聞いてくる人は基本的に、夢の内容にもチェックを入れてくる。自分が納得できる夢でない場合には、「こっちの方がいいと思う!」と他人の夢を“矯正”することすらある。
「世間が納得できるような、素晴らしい夢を持たなくてはならない」と自分の将来像に他人の価値観まで入ってきた日には、もはや“ドリーム・ハラスメント”……繁華街の雑居ビルに構えられた、怪しげな詐欺会社のようだ。
社会には、筆者のように、「流れに任せて、自分のできることを、できる範囲で続けてきた」という人も大勢いるはず。
そういう人たちが、夢を持っている人に比べて「劣っている」とみなされるような社会は、どうも息苦しい。
「夢なんて、なくても生きていける」
と言い切れる方が、気楽に人生を楽しめる……そんな考え方もあっていいと思うのだ。