夢なんてなくても生きていける

話を戻そう。

夢を持つのが素晴らしいことであるのはその通りと思うし、夢を叶えようと行動することで人生に張りが出るのも事実。

人類がここまで発展してきたのも、あらゆる逆境にめげず「願望を実現したい」と夢を持ち続けてきた人がいるからこそとも言える。

そのうちマイナンバーカードに「夢」が紐付けられそうだ。しかし、素晴らしいことだからこそ、むしろ筆者は世間に「全ての人間に、夢を持たせようとしないでほしい」と訴えたい。

山田ルイ53世
撮影:本社写真部

それを実現させるために努力して生きるべきだという「夢」は、誰もが叶えられるわけではない。

持って生まれた気質や、置かれた環境によっては、そもそも夢を持つことが難しい人だって少なくないはず。

さらに夢を聞いてくる人は基本的に、夢の内容にもチェックを入れてくる。自分が納得できる夢でない場合には、「こっちの方がいいと思う!」と他人の夢を“矯正”することすらある。

「世間が納得できるような、素晴らしい夢を持たなくてはならない」と自分の将来像に他人の価値観まで入ってきた日には、もはや“ドリーム・ハラスメント”……繁華街の雑居ビルに構えられた、怪しげな詐欺会社のようだ。

社会には、筆者のように、「流れに任せて、自分のできることを、できる範囲で続けてきた」という人も大勢いるはず。

そういう人たちが、夢を持っている人に比べて「劣っている」とみなされるような社会は、どうも息苦しい。

「夢なんて、なくても生きていける」

と言い切れる方が、気楽に人生を楽しめる……そんな考え方もあっていいと思うのだ。