祐司の女性全般への解像度がとても低い。化粧水なんて、どんな商品も肌に合うか合わないかはかなり個人差がある。体質を知らない相手に闇雲に高い化粧水をプレゼントするのは相当なギャンブルだ。だけど彼の中では「どんな女性でももらったら喜ぶもの」みたいな曖昧なイメージがあるのだろう。
 もしかして祐司の頭の中では、母親の英子に関して「女性である」ということ以外、まるで情報が蓄積されていないのか。
 舞子はひどい倦怠感に襲われた。子育てって一体なんなのだろう。
 大人しく無口な英子の心理も分かりにくいが、それより、これほど母親に関心を持たずに生きていける祐司の方がよく分からない。母親と息子ってこんなに遠いものなのか。
 そうしてふと、息子が通う小学校で味わった困惑を思い出した。
 今日、有休を取ったのはなにも義母のプレゼント選びのためだけではない。午前中は息子の櫂人(かいと)が通う小学校へと出向き、担任と話し合いを行っていた。
 櫂人がクラスメイトの男の子に突然暴力をふるい、怪我を負わせた。そんな連絡が飛び込んできたのは一週間前のことだ。