60代後半になると……
60代後半になると、継続勤務者では「400万~600万円未満」の人よりも「200万~400万円未満」の人が多くなり、ボリュームゾーンは転職者と同じになりますが、継続勤務者は転職者よりも年収が高い人が多く、全体傾向は60代前半とそれほど変わりません。一方、パート・アルバイトについては、60代前半よりも「200万~400万円未満」の人が増えており、むしろ高収入になっています。
60代後半になると企業の雇用継続義務がなくなることもあり、正社員等での就業が減って、パート・アルバイト勤務者の割合が60代前半の3倍になります。60代後半のパート・アルバイトの収入が60代前半よりも高い理由は、時間単価の上昇ではなく、収入が必要で長時間働く人が増えるからだろうと推測できます。
60代の給与といえば、「60歳定年で再雇用になって、給料が3割下がった」「うちの会社は65歳定年だけど、60歳で給与が下がる」という声が多く聞かれます。実際のところ、60歳定年企業の8割、65歳定年企業の4割が60歳で処遇を見直しており、平均で年収が28%ダウンしています。
それでも、収入面では転職するよりも継続勤務が有利です。しかも、継続勤務は60代前半であれば希望者は全員雇用されるので、新たに職を得るための面倒な活動や苦労もありません。長年勤めた会社なので、社外からでは見えづらい企業風土などもよく知っています。「ずっと正社員だった」60代の多くが、「生計維持」の解決策として継続勤務を選んでも何の不思議もありません。
※本稿は、『定年前後のキャリア戦略-データで読み解く60代社員のリアル』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『定年前後のキャリア戦略-データで読み解く60代社員のリアル』(著:藤井薫/中央公論新社)
30年、40年、それ以上にもわたる会社員生活。60歳以降もなぜ働くのか、どう働くのか。
本書では、企業勤めの50代後半~60代、約5000人を対象とした調査をベースに、シニアの働き方の今を追う。
渦中の60代はもちろん、「明日はわが身」の50代にとっても、人生後半戦における「働くこと」との向き合い方を考えるうえで欠かせない1冊。





