すっぱり割り切って「現」場で「役」立つ人であれ

管理職には部下からの二次情報がたくさん集まってきます。長い管理職生活の中で、自分で直接体験した一次情報はどれくらいありますか? AIを駆使して専門知識を得ても、おそらくそれだけで専門業務のノウハウが身についたり、実際に自分でできるようになったりするわけではありません。

1974年にノーベル経済学賞を受賞したフリードリヒ・ハイエクは、現場の人(man on the spotその場にいた人)が持っている情報こそがノウハウだと指摘しています。その時その場にいた人にしかわからないこと、実際にやってみなければわからないこと、それが本当のノウハウだということです。“on the spot”の生情報に触れずに長い間過ごしてきた「元・管理職」は、専門知識はあってもプレーヤーとしてのノウハウに欠ける面があるかもしれません。筆者は、現役とは「現」場で「役」立つ人のことだと考えています。「元・管理職」がプレーヤーとして「現役」に返り咲くためには、自分で動いて、ノウハウをキャッチアップ、ブラッシュアップすることが欠かせません。

そして三つ目。最も肝心なことは、管理職時代に刷り込まれたマインドセットを、プレーヤーモードに切り替えられるかどうか。ここまで、「元・管理職」は基本的にプレーヤーだと強調してきました。もちろん、実際にはプレーヤーのサポート役やアドバイザー役の人も必要です。60代社員は正社員の1.4割を占めます。そして、その下の50代、特に50代前半は団塊ジュニア世代ということもあって、正社員の2.6割を占めます。今後さらに、60代社員の割合は増えていきます。

サポート役やアドバイザー役はプレーヤーがいてこそであって、決して大勢いればいいというものではありません。今後それらのミドルバック要員体制は、AI活用などで縮小していく可能性も高そうです。一昔前のように、「ベテランのみなさんは、これからは若手・中堅の指導役にまわってください」という時代ではありません。プレーヤーになれる人は、プレーヤーであることを基本にするべきなのです。