自分を壊すことで社会を変える

浜野 今回の映画では「現に在るものをぶち壊すのが私の職業です」という文子の言葉をキャッチフレーズにしました。世の中を変えていくためには、まずは1人1人の女性が自分を壊していかなきゃダメなんです。自分が変わらなければ、社会だって変わりませんよ。

浜野佐知さんの写真
(撮影:本社 奥西義和)

村山 私は惚れた男に尽くすのが好きな女なので耳が痛いのですが(笑)、それはプレイとしてやっていればいいことで、社会に対して自分の思いを言わなければならないときには、きっちり伝える。まずはそこから、女性は自分を変えていかなければいけないのだと思います。

浜野 男社会に忖度しちゃいけない。最後に自分を守ってくれるのは自尊心です。それを捨てて、ラクに生きていこうとすることは決して社会を良くしない。

村山 先ほど監督がおっしゃったカップルの例じゃないですけど、今の若い女性ですらどこかに『女大学』のしっぽが残っていて、夫や息子がご飯茶碗を差し出したら、黙っておかわりをよそってしまう。それがあたりまえの世の中にならないように、まずは自分で自分を教育することが大切。そんな思いも、この映画を観ながら感じましたね。

浜野 男社会に媚びず、自分の信念を貫き通して生きる。そんなブレない覚悟を今を生きる女性たちに持ってもらいたい。金子文子は決して絶望して死んだんじゃない。「私は今、私自身を生きるためには、現在の自分を殺さなければならない」というセリフがあるのですが、自分自身を生かすために、自分自身を貫きとおすために死んだんです。死を覚悟した文子の独房の窓に1羽のスズメが飛んでくる。その小さな命に自分の未来を乗せて大空にはばたかせたことで、文子は満足して死んだのではないかと思います。実際のところはわかりませんが、このシーンに私の文子への想いを込めました。