疲れていた。そのときも夜泣きへの対応に伴う寝不足で、泥のように疲れていた。その気だるさが、まず思い出される。
『中傷っていうか、私の学生時代の友人が参加しているママ友の集まりでは、そう言われているって程度の話なんですけども……』
『もう何十年も昔からあるふるーい中傷よ、それ。えー、今でもそんなこと言うの。びっくり』
 たしか、櫂人を生後八ヶ月で保育園に入園させるか否か、迷っていたのだ。保育園の待機児童問題が深刻だった時期で、四月入園の手続きをしなければ職場に復帰できなくなるかもしれない、と焦りが募っていた。
 しかし出産を機に専業主婦となり、子供を幼稚園に通わせている友人が参加しているママ友会では、「保育園に通う子供は親が仕事ばかりで手をかけていないから乱暴」という言説が飛び交っているらしい。まだ子育てに慣れず、保育園も幼稚園も未知の領域でしかない舞子にとって、その言説は聞き流すことができなかった。
 もしかして保育園は子供にとって大変な場所なんだろうか。そんな場所に櫂人を通わせるのは、ひどいことなんだろうか。やっぱり自分は、仕事への復帰を諦めるべきなんだろうか。