さて、もう一度、素敵な贈り物を考えてみよう。
英子は、おそらく今以上に激しかったであろう一昔前の「母親が働いている家の子供は躾がなっていなくて乱暴」なんて中傷を受けながら、男の子二人の子育てと仕事を両立させた人だ。しかも夫は留守がちで、ワンオペ状態。すごく活動的でタフだ。働くことが好きだったのだろう。
そんな英子に喜んでもらえる贈り物とは、なんだろう。
きっと、忙しかったはずだ。目まぐるしく、毎日が飛ぶように過ぎていく。見落としがないか、ミスがないか、そわそわしながら目の前のタスクをこなし、トラブルを処理する。働く母親への風当たりを感じ、だからこそ、子供たちが辛い思いや不便な思いをしないよう気を回す――。そこまで考えて、まるで自分について悩んでいるみたいだな、と舞子はげんなりした。
少し冷静になった方がいいかもしれない。余裕がないせいで、なにもかも自分に引きつけて考えすぎている、ような。
エレベーター脇に設置されたフロアの案内板を眺める。
案内板の一番上、屋上庭園の四文字に目が引き寄せられた。
