解体業のパトロール隊として出動
掃除を終えると、いよいよ現場へ出動。社用車で事務所を出た。この日はあいにくの雨天。解体作業を休んでいる可能性も危惧したが、どこも通常通り稼働していた。現場は日雇いが多い。休んだら、その日の収入はゼロだ。
最初の現場を訪れて「危険」と言われたわけがよくわかった。80坪ほどの敷地に建つ50坪ほどの日本家屋の解体だったが、クレーンのヘッドを使ってひたすら破壊する。建物をガンガン壊していく。柱や壁や屋根が上から降ってくる。地面には廃材が重なり、雨のせいで地面はぬかるみ、落ちてくる廃材を避けるだけでも大変な労働だ。
作業員は6人。この日は全員トルコ系クルド人だという。もちろん在留資格を持つ人たちだ。クレーンを操縦する男性とトラックに廃材を積む男性がリーダーシップをとっていた。あとの4人のうち3人は男性、1人は女性だった。男女とも鎧を着ているように立派な身体だ。
リーダー格の2人のほかは、廃材を拾って集め、トラックに積み、埃のたつところに水撒きをしている(雨降りに水を撒くので、地面は沼のようになっていた)。他の作業員が働く姿をながめている時間は長く、これで日給1万3000円ならばコストパフォーマンスのいい仕事かもしれない。
スギモトさんは担当エリアの現場を手際よくまわっていく。日雇いの僕はサポート役に徹する。現場作業員の名簿をはじめ書類を持ったり、トラックや重機を誘導したり。
名簿と労働者を照合するときは現場にうっすらと緊張が走った。クレーンを操縦していたリーダーが、パトロール担当の男性にその日のメンバーの名前と在留証明書を渡す。名簿には見たことのない文字で名前が書かれていた。まったく読めない。このときに在留資格のない作業員がいたら、その人は現場から追放される。もちろん日当は支払われない。その作業員が次の抜き打ちパトロールのときにまた現場にいたら、下請け会社は即契約打ち切りになる。この元請け会社からは二度と受注できない。