まさか、休館?
もっとも、観光案内所も万能ではありません。勧めに従ったらとんでもない事態になったケースもあります。
数年前、雪降り積もる真冬に山形県を旅した時のことでした。
降り立ったのは新幹線も停まる比較的大きな街。そこからバスで30分ほど揺られた山中の小さな温泉街がその日の宿でしたが、チェックイン時間までに3時間ほど半端な時間があったので、駅からさほど遠くないところでなにか観光できないかと思い、案内所に飛び込みました。
受付にいたのは若い方で、配属されてまだ日が浅いのかどことなくぎこちなさを感じる対応でしたが、所要時間は行き帰り含めて3時間を超えない程度、雪が降っているので屋内施設など、こちらが提示した条件に合わせ、地元の民俗資料館を紹介してくれました。
駅からは徒歩20分強ということで普段なら歩く距離でしたが、その日はあいにく気温が低く、雪も舞う天気だったので、旅は安全第一がモットーの私はタクシーで向かうことにしました。
そして、わずかな乗車で民俗資料館に到着したのですが……なにやら様子がおかしい。駐車場に進入禁止の鎖が張ってあったのです。タクシーの運転手さんも「あれ、変だね?」と首を傾げています。
私は念の為、運転手さんに待っていてもらうようにお願いしておいた上で、エントランスに向かいました。
そっと扉に手をかけると、鍵は開いていました。
でも、中は薄暗く、受付にも人の姿はありません。
まさか、休館? と不安になったものの、観光案内所で勧められたのだからそんなはずはない。
受付のデスクを見ると、上部の突起を叩いて鳴らすタイプの呼び鈴がありました。レストランなどによくある、銀色のあれです。私はさっそくベルを2、3回チンチンと鳴らしました。するとすぐに女性がふたり出てこられました。
そこで「すみません、もしかして今日はお休みでしょうか?」と聞いてみました。
すると、「はい、そうです。今日は展示入れ替え日で臨時休館なんです」とおっしゃるではないですか。