優勝8度の大監督が、高卒1年目投手を叱る

2番・今宮健太選手に三塁内野安打のあと、柳田悠岐選手にストライクが一球も入らず、押し出しフォアボール。

なお2死満塁。デスパイネ選手にもカウント3ボール2ストライクのフルカウントにしてしまいました。僕は、134キロのスライダーをアウトコースの本塁プレート上に乗せにいきました。「また押し出しはできない……」。威力に欠けたボールを、プロの4番打者が見逃してくれるはずがありません。2点タイムリーヒット。

戸郷翔征
「『プロでの最大の緊張』は間違いなくこの『日本シリーズ初登板』です」(写真提供:講談社)

結局、僕はそこでマウンドを降りたのです。1イニングももたず、3安打2四球1奪三振4失点で、2対6。

「翔征、ちょっと来い!」

イニング間、僕は原辰徳監督にベンチ裏に呼ばれました。

「俺はな、お前さんを、できると思ってマウンドに送り出したんだ! なぜ逃げ腰のピッチングをするんだ!!」

あの原監督が血相を変えていました。たしかに0勝2敗の劣勢の3戦目。日本シリーズの行方を左右する致命的な4失点を献上してしまいました。

しかし、巨人監督13年目で実に8度のリーグ優勝を誇る名将が、わずかプロ通算4試合目、高卒1年目の若造の僕の弱気を本気で叱ってくださったのです。