プロ野球人生のターニングポイント
僕はさすがに落ち込みました。しかし、ベンチの先輩方の反応はまったく違うもので、一様に驚いていました。
「それだけ翔征は、期待されているんだ」
たしかに僕は不甲斐ない、無様なピッチングでした。しかし、原辰徳監督が怒っていたのは「打たれたこと」にではなく、「向かっていく姿勢」がなかったことに対してなのです。
原辰徳監督のあの「逃げるな!」という言葉は、今も僕の胸に深く刻まれています。
ソフトバンクは子供のころの憧れのチームでした。しかし、いったんプロのユニフォームに袖を通したからには、夢ではなく現実。やるかやられるかの真剣勝負。ノホホンとしていたら、プロ野球のユニフォームを脱ぐしかないのです。
高卒1年目、日本最高峰の日本シリーズの舞台は「失敗の経験」でした。しかし、それを味わえたことは今になって考えれば、「宝物」。僕の野球人生にとって何物にも代えがたい大きな「ターニングポイント」になったのです。
子供のころから憧れていた内川選手、松田選手を弱冠19 歳がいきなり抑えていたら、僕は天狗になっていたかもしれません。今もまだ25歳の僕が言うのも僭越ですが、失敗を失敗のまま終わらせるのではなく、失敗を成功に転じさせる努力をするのが大事なんじゃないかと思います。それをいきなり痛感できたのです。
※本稿は、『覚悟』(講談社)の一部を再編集したものです。
『覚悟』(著:戸郷翔征/講談社)
2026年の復活へ、真のエースになるために――巨人の支柱が胸中と覚悟を初めて明かす。
挫折を経て巻き返しを誓う戸郷翔征が、復活の逆襲への誓いを綴った一冊!




