簡易防音室「だんぼっち」が売れている背景
この商品は段ボール製で、ベーシックなタイプは半畳ほどの広さ。値段は8万3500円(税込み:2025年6月現在)で、それなりに値が張る。しかし、内部で立ち上がったり、両手を広げようとしたりすれば、壁にぶつかるほどの大きさしかない。それでも購入者がたくさんいるのだ。
もともと、この商品の使途は、ネットに投稿する動画などの撮影ルームとして想定されていた。しかし実際には、「一人でこもる」「集中して本を読む」といったニーズも多かったという。
そして、20代の男性を中心に約2000台が売れた(2016年1月5日付「朝日新聞デジタル」)と報じられたが、「だんぼっち」のオフィシャルショップは、2025年7月現在、累計販売台数は6000台を突破したとしている。
人間関係に疲れ、打開する術が見つけられないとき、この商品のなかで一人になってみる……すると自分の体の奥底から、力が湧き出してくるかもしれない。もちろん、本当に人間関係に疲れ切ってしまった人は、迷わずに精神科医の診療を受けるべきなのだが。
ちなみに私は、初対面の人に会った際に、「この人と付き合うと面倒な人間関係に巻き込まれそうだ」などということを、直観的に感じる。そういうときには、相手に近寄る隙を与えないようにしている。
というのも、誰とでも良好な人間関係を維持しようとすると疲れ切ってしまうので、作家として優れた作品が書けないからだ。自分のことを気難しい人物だと思われたとしても、それで良しとしている。
ちなみにドイツの哲学者、アルトゥール・ショーペンハウアーは、「孤独は優れた精神の持ち主の運命である」と言った。「だんぼっち」は、孤独になるための優れたツールだと言える。
※本稿は、『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(著:佐藤優/飛鳥新社)
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