一生分の運を使い切っても良いから…

デジカメのない時代だから、撮影した17本のフィルムと取材を書き留めたメモ帳の入ったショルダーバッグを、たすき掛けにした。カメラや望遠レンズを入れたバッグの取っ手には紐をつけて、腕に縛っていた。ひったくりの被害にあわないためだ。

そろそろ搭乗時間だと、出発便の電光掲示板を見ていたら、混乱してきた。

どこから飛行機に乗ったら良いか分からず、歩いていた空港の職員だと思える人にたずねると、英語ではない言葉を話し、指をさした。ブラジルの公用語はポルトガル語だが、私は全く分からない。私は指さした方向に歩いたが、飛行機に乗れるような場所ではなかった。

私はさらに歩いた。

通路に清掃用具を持った女性が2人いて、搭乗券を見せたら、英語以外の言葉を話し顔を横にふった。分からないという意味なのだろう。作業服の男性にも聞いたが、顔を横にふった。腕時計を見ると。出発時間が迫っている。

(写真:stock.adobe.com)


「ものすごくやばい。山手線と違い飛行機は次々と来ない。乗るのは国内線ではなく国際線なのか!」と思った。

ショルダーバッグを揺らし、カメラバッグを握りしめて、「乗る飛行機はどこだ?!一生分の運を使い切っても良いから飛行機にたどり着かせてくれ!」と、神様に祈り、涙ぐみながら搭乗口を探して爆走した。