根腐れ警報

そして調子の悪い鉢に、ついうっかり水をやりすぎるという“人災”が起こった。起こしてるのは俺だ。この「調子の悪い鉢に、ついうっかり水をやりすぎる」というのは園芸あるあるの中でもトップクラスの例ではないだろうか。

表土に触れればいつになく湿っているのである。で、その湿気が引かない。植物が吸っていないのだ。その段階で俺は根腐れ警報を自らに出すべきであった。

いとうせいこう
いとうせいこう「人間でさえ『熱中症に注意!』と毎日警告を発されているのだから、植物やペットがどれほどの苦痛を味わっていることか」(写真提供:マガジンハウス)

だがしかし、あまりの日々の暑さに「こいつも水を飲みたいだろう」と考えがちの俺であった。確かに自分も氷水などガブガブ飲んでいたのである。

それでオリヅルランは俺に明らかなサインを出してきた。葉の先が変色し、それが面積を増し、あからさまにしおれたのだ。すぐに土に指を刺し、異様な湿りぶりに背筋を凍らせた俺は、それからしばらく水やりを断つ。