違う世界に触れる大切さ

アスリートの世界は、意識的に外部との接点を持たないと、本当に狭い人間関係で完結してしまいます。プロ野球の場合、キャンプインする2月から、秋季キャンプなどの球団行事が終わる11月末までの10カ月間、ほとんど毎日、同じチームメイト、同じ球団スタッフと野球という「共通言語」のみを使って会話をします。

だからこそ僕は、シーズン中のオフの日には極力、球団の人とは会わず、他の分野の方々とミーティングをしたり、サッカーや格闘技などの他のスポーツを観戦したり、ミュージシャンのライブに行ったりして、違う世界に触れることをずっと心がけてきました。

菊池雄星
菊池雄星選手

もちろん、人付き合いが増えると、その分リスクや余計なノイズも増えるため、メリットばかりではありません。しかし、まるで無菌室に入るかのように外部との交流を断ち、近寄ってくる人をすべて遠ざけてしまえば、豊かな人間関係の構築や、外の世界から得られる学びは著しく限定されてしまう。リスクを回避しているようで、実は「無知はリスク」という側面も同時に生まれるのです。

僕自身、若い頃に人付き合いで痛い思いをしてこなかったわけではありません。人付き合いが多くなって、野球とのバランスが取れなくなっていた時期も、今振り返ればあったように思います。しかし、それらの経験もすべて、今となっては本当に大切なものを見極めるための必要なプロセスだったと感じていますし、その頃に出会った数名の方々とは、今でも非常に濃い関係を築いています。