主人公・こと葉

愛読書の主人公、こと葉にもそんな元気さを感じ取れる。すでにドラマ化してる(注・主演は比嘉愛未)そうだが、それも納得のエンタメ小説だ。

平凡なOLのこと葉が、幼なじみの結婚式で聞いた感動的なスピーチをきっかけに、人生が変わっていく。

『有名人の愛読書、読んでみました。』(著:ブルボン小林/中央公論新社)

結婚式という定番の始まり方で恋愛小説かと思いきや、仕事小説の比重が高い。会社のブランディングから、果ては国政選挙の演説にまで駆り出される。現実にはあり得ない抜擢だが、構成のうまさで読者をのせ、スピーチの醍醐味を描いていく。

「この本を読んでから、誰かが発した言葉、自分が口にする言葉、双方に対して敏感になりました」と今田さん(「ダ・ヴィンチ」18年8月号)。優等生的というと皮肉っぽくなるが、取り繕いのない、端的な感想だと思う。

こと葉は、心の中のつぶやきは平凡だが、応接する仕事が次々変わってもなんだかんだで全対応できている。どの仕事も成功し、どんどん「見込まれていく」筋運びで、主人公に対していささか「イージーモード」な展開すぎるというきらいはあるものの、個々の場面で発揮される頼もしさが、今田さんのたくさんの仕事ぶりと重なって感じられてくる。

イラスト:死後くん