大正時代に竹久夢二が人気だったことを知り、第一話の主人公・タイ子は、夢二の絵に似た美人、という設定に。気さくだけど嘘つきの美登里、知的で少し高慢なところもあるセイなど、登場人物たちは一癖あるけれど、身近にいそうな人物像にしています。
「近現代ものにしよう」というのは編集者さんとの相談で決まったのですが、私はもともとその時代を生きた作家の書いたものが好きだったので、気持ちが乗りやすかった。
幸田文や森茉莉、男性作家では夏目漱石や内田百間(正しくはもんがまえに月)。映画は小津安二郎や成瀬巳喜男など。市井の人の暮らしを緻密に描いたものが特に好みです。
その時代独特の言葉遣いがいいですよね。映画の中で女優さんが「アタクシ」と言ったりすると、しびれます。(笑)
とはいえ自分の生きていない時代を書くのはやはり大変で。煙草について調べるために「たばこと塩の博物館」に行ったり、書いて、調べて、また書いてという感じで、必死に書きました。