それからは毎年、新日本プロレスがお正月明けに開催する「1.4東京ドーム!」と8月の「G1クライマックス」に一緒に通うようになって、コロナ禍になるまでずっと続いていました。2人で一番前のかぶりつき席に陣取って、大声で応援して、楽しかったね。

ある年のG1クライマックスの日、台風が首都圏を直撃。不要不急の外出は控えるようにと報道されていたから、「どうする?」と朝から電話で話していたんだけど、「ここで行かないと女がすたる!」と意見が一致(笑)。

当時、内館さんは車高が高いランドクルーザーに乗っていたから、少々の雨は大丈夫だろうと迎えにきてくれて、一緒に武道館へまっしぐら。途中、浸水箇所もあったけど、「タクシーが浮いてる!」「こんな日にプロレスを観に行く私たち、すごいよな」なんて言いながら会場に向かったのはいい思い出です。

別の年、プロレスを観た後、食事をしようとあるホテルに入ったら、レストランの入り口に「スポーツ新聞と競馬新聞をお持ちの方は入店をお断りします」と貼り紙があったの。それを見て私たちは、「これは差別だ! 気に入らん!」と息巻いた。

で、ここが面白いんだけど、彼女が思い出語りするときは、「店長を呼び出して抗議した」となるんです。でも実際は、お店に置いてあった要望用紙に、抗議文と「日本相撲協会 内館牧子、日本中央競馬会 吉永みち子」って名前を書いて、店長に渡したの。2人とも、相撲協会員でも競馬会職員でもないんだけどね(笑)。

たぶん彼女は、記憶を脚色したんでしょう。店長を呼び出して抗議するほうがドラマ的だもの。やっぱり根っからの脚本家で、創作の世界の人。そこが、ノンフィクション作家の私とは違うのよね。