でもノンフィクション作家の私は疑り深いから、それだけでは納得できない。「だったら一緒にイタコに会いに行こうよ」ということになって、何人かのイタコの方をハシゴするっていう旅が決定したの。

内館さんは親や親戚に恵まれ、愛されて何不自由なく育った人。だからか、父親や母親の霊を呼び出すと、どのイタコからも「よく来てくれたねぇ」とほのぼのとしたことを言われていました。

一方の私は母親と確執があったから、「あの世でバトルの続きをやるのは面倒くさい。この機会に母親の霊を呼び出して決着をつけよう」みたいな気持ちで臨んだわけです。

すると最初にお願いしたイタコが言い放ったのが、「子どもには優しい子と優しくない子がいる」。それは昔、私が母から言われて傷つき、二度と聞きたくなかった言葉。

イタコの言葉を聞いている私の殺伐とした雰囲気を感じたのか、内館さんが慌てだして、団扇であおいでくれたり、背中をさすってくれたりしてね。私たちは生育環境も正反対なんだな……と思い知らされながらも、本当に不思議な二人旅だった。

後編につづく

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