(写真提供:Photo AC)
妖怪にまつわる伝承は全国に数多く存在しますが、妖怪愛好家のライター・宮本幸枝さんは、「いつでも私たち人間の隣にいた『妖怪』を探ることは、過去から現代まで地続きになっている人々の営みを振り返ることでもある」と話します。今回は、そんな宮本さんの著書『ムー特別編集 図説 日本の妖怪百科』より、「酒呑童子」をご紹介します。

平安京を騒がせた最強の鬼 酒呑童子

「酒呑童子」は、丹波国(現在の京都府)大江山一帯を根城にし、茨木童子をはじめとする強力な鬼の眷属を従えて都を荒らしたという、妖怪史上最強とも謳われる伝説の鬼である。

時は平安時代。酒呑童子とその仲間の鬼たちは、都から女をさらい、人を殺し、金銀財宝を盗むなど悪行の限りを尽くしていた。

これを見かねた朝廷は、土蜘蛛退治などで手柄のある源頼光と、その部下である四天王に酒呑童子の討伐を命じる。

山伏に変装して大江山を訪れた頼光一行は、途中、熊野の神の化身である老人に「神便鬼毒酒」という、鬼の身体の自由を奪う毒が入った酒を与えられた。

その酒を土産に酒呑童子のアジトに乗り込んだ頼光は、怪しまれながらも酒呑童子一味に歓待を受ける。