死亡時期
そして、部屋の中央には毛布の塊があった。
私と鑑識は、1枚ずつ毛布を剥がした。6枚目を剥がすと死体が姿を現した。ほぼ「スクレトニゼ」(英語のスケルトナイズドからつくられた新語)の状態だった。すなわち、ほぼ骸骨化しており、少しの皮膚がボール紙状となってあちこちに残っていて、関節の靭帯のおかげで骸骨はまだバラバラになっていなかった。
このような死体分解の状態は、死亡時期が少なくとも数週間前であることを物語っていた。……そうなると問題がある。
なぜなら、10日前に警察は家宅捜索でこのアパートを訪れていたからだ。
死体がここにあったとしたら、気づかれないで済んだはずがない。
私は死体を自分の解剖室まで運ばせ、この人物の死因を突き止め、身元を特定するためにやるべきことをやった。歯科診療記録との突き合わせにより、身元は短期間で確定した。
死体がこのような状態だと、死因を突き止めるのは非常に難しい。骨に被弾した跡や、刃物で傷つけられた跡でもあるなら別であるが……。ただ、このケースでは舌骨が折れていたので、首が圧迫された、と確信を持って言うことができた。縄などを巻きつけられた可能性、首吊りの可能性、そのほかの可能性もある。「可能性」ばかりではっきりしないが、皆目見当がつかないよりはマシであるし、「首吊り自殺」という同居人たちの供述の裏づけにはなり得る。