アクションで旋風を起こしていきたい
―― まちの書店とは、我々がイメージするところの「本屋さん」ですね。私のような昭和の人間にとって、かつて本とは本屋さんに行って、偶然に出会うものでした。本屋さんにはその町々で違う文化の香りがあり、それを感じながら出会った本がたくさんありました。
今村:書店がまちにある意味って、人生の中で大事な出会いのためだと、僕自身も思っています。JR九州の佐賀駅構内に佐賀之書店を新規出店した時も、「今さら地方に書店ですか?」と、いろいろいわれました。
でも、閉店が取り沙汰されていた時の、きのしたブックセンターで僕は、小さな女の子とおばあさんらしき二人が絵本を選んでいる光景を見たんですよ。たった5分ぐらいの時間だけど、棚の前に立ち止まって二人でわちゃわちゃと楽しそうに話していた。そういう時間は、僕がこの書店を継承しなければ続いていかない。そう思うと、自分がこの世に生まれてきて、アクションを起こす意味が身に迫ってくるんです。
―― 今村さんにとって、アクションを起こすことの根源的な意味は何なのでしょうか。
今村:それは他の人生に影響を与える、ということですね。自己満足かもしれんけど、せっかく大好きなこの世界に入って、食べさせていただいているのなら、「今村翔吾がいない出版界は想像がつかない」「あの時、今村翔吾が動いたから、今の出版界がある」と、いつかはいってもらいたいじゃないですか(笑)。だったら、そこまでやったろうやないか、という思いがあります。
いうたら、調子こいているんです。だけど、お調子者でも何でもいい。みなさんからああだ、こうだといわれながら、アクションで旋風を起こしていきたいのです。
※本稿は、『書店再興 まちの本屋さんのゲームチェンジのために』(日経BP)の一部を再編集したものです。
『書店再興 まちの本屋さんのゲームチェンジのために』(著:清野由美/日経BP)
「本屋さんがなくなる」悲観論ばかりが叫ばれる書店業界で、直木賞作家・今村翔吾氏をはじめ、個人が、企業が立ち上がる。
現状の課題認識、再興の道を探るキーパーソンのインタビュー、そして「ゲームチェンジ」の戦略を、シビアな数字と希望を持って語る。
書店はやっぱり再興(サイコー!)だ。





