「本+本」で成り立つ形
―― 「やれることをやる」という前段として大阪、佐賀での書店経営というアクションがあるわけですが、今回の「ほんまる」は東京・神保町という書店の聖地での新規出店。しかもシェア型書店という変わった業態です。本を売る店ではなく、本を売るための棚を貸す、という形をなぜ選んだのでしょうか。
今村:僕は直木賞をいただいた時に、特別仕立てのバンで全国47都道府県の書店さんや学校、図書館を回る「今村翔吾のまつり旅」というキャラバンを行ないました。
5月から9月にかけての約120日間は、一度も自宅に帰らずに、原稿もバンの中で書いていました。周りからは「今村さん、もしかしたらアホちがいますか?」といわれ、その通りでしたが(笑)、その時に全国にある書店が、生き残るためにさまざまな努力をしている現場をたくさん見たのです。
たとえば、この30年は本に雑貨やDVD、カフェなどを組み合わせる「本+何か」が流行った時代でした。
―― 本+雑貨は1986年に開業した「ヴィレッジヴァンガード」が嚆矢の存在で、2003年に上場まで果たしましたが、近年は大量閉店に追い込まれています。
今村:そう、かつてはウケた業態でも、今は市場が変化して、工夫が効かなくなっている。最近は手っ取り早い儲けとしてガチャガチャを入れた売り場が増えていたり、あと、変わり種でいうとトルコ料理屋さん併設の本屋さんもあったりします。スパイシーな料理と本の組み合わせは、それはそれで面白いと思いますが、それほどみんなが「本+**(何か)」という組み合わせを試行錯誤しているんですね。
その中で、できれば「本+本」で成り立つ形はないかと僕は考えて、その一つとしてシェア型書店については、ずっと研究をしていました。
