インフレもデフレも気分次第
インフレやデフレは複雑な現象に見えるが、根本は単純だ。物価とは、モノと貨幣の交換比率である。モノは食べたり使ったりできるから価値があるが、貨幣そのものにはそうした価値がない。
だから「貨幣にはもう魅力がない」と多くの人が思えば、貨幣を手放す動きが広がり、物価は上がる。逆に「貨幣は魅力的だ」と思えば、貨幣を持ちたがるようになり、物価は下がる。
要するに、インフレもデフレも、人々の信念や気持ちの揺らぎが原因で起きる。筆者はこれを「インフレもデフレも気分次第」と表現した。ピーターパンの喩えは、この不思議な現象を巧みに言い表している。
とはいえ現実には、黒田総裁が「飛べる」と繰り返し訴えても、人々は飛ぼうとしなかった。実際に「飛べる」と信じていたのは、黒田総裁とその周辺だけだったように思う。日銀は量的・質的緩和(QQE)、イールドカーブ・コントロール(YCC)、マイナス金利と、あらゆる政策手段を動員したが、その思いは人々に届かず、インフレ予想も変わらなかった。
