不完全でも自分らしい楽しい生

子を持つ気も
持てる気も全然しないこころで
あのころ
いばしょ なかった。

連作はこの歌から始まります。子供を持つ気がしなかったなか、社会の規範や自分へのプレッシャーで居場所がない感覚は、お嬢様方の中にも、身に覚えがある方がいらっしゃるのではないでしょうか。居場所がなかったのは、個人の思想なのか、社会の常識なのか、作者にとってはどちらか分かりませんが、「いばしょ なかった」という一字空けが、本当に居場所のなさを伝えてきます。また、今橋さまの改行のセンスは素晴らしく、まるで呼吸とともに呟きを聞いている感じ。この伝統的には反則技ながらナチュラルな改行の呼吸は、作者の作品全編を通して伝わってきます。

40才
できひんことをできるようになろうとか
ちっともおもわないです 今は

わかる!と膝を打った30代、40代のお嬢様も多いのではないでしょうか。もっと若い頃はなんでもできるようになりたいと思ったけれど、できないものはしょうがない、できることを伸ばそうと思うのもこの頃ではないでしょうか。パーフェクトでも息苦しい人生を送るより、不完全でも自分らしい楽しい生を生きたいと思うのが自然な流れです。