解き放たれて 息をはきだす
かわいいといわれて
うれしいときと
かなしいときがあるんだ
わかる?
滋味深い歌ですね。かわいい、という言葉の中には、相手を愛らしいと捉えると同時に、幼いもの、相手にとって立場が下なもの、未熟なものに使うことも多い言葉です。
しかも日本は、なんだって「かわいい」で片付けてしまう文化。それが本当に愛おしいという感情から出たものか、その他の雑味を含んだものか、一度考えてもよさそうです。
女ありけり
何かから解き放たれて
息をはきだす
40で やっと
そう、精神的な自立を経て、自分の考えを持てるようになり、女性は解き放たれ、ようやく息が吐き出せます。若さ至上主義の社会にとって、周りの目や自意識も大きく関係するでしょう。この「40で やっと」には爽快感があります。
さてさて、お嬢様。今橋さまの歌をぐるっと回ってきましたが、どんなご気分でしょう。ふむふむ、やっぱり私は間違ってなかった、それはよかったです。今のお嬢様は社会の規範にも周りの目にも縛られず、まさに「解き放たれて 息をはきだす」状態に見えますよ。なになに? 恋人がいないからこそやりたいことをやる? 素晴らしい! 何からなさいますか? え? 有休使ってフランスパリ旅行? 大きな決断! 本気でございますか! ではわたくしめもぜひお供を! え? 一人で行かれると? 憧れのおパリおパリ! 私も行きとうございますーー! 連れてってー!
今回ご紹介した歌人
今橋愛(いまはし・あい)
1976年大阪府生まれ。岡井隆に師事し、短歌結社「未来」に所属。2002年に北溟短歌賞を受賞。歌集『O脚の膝』『としごのおやこ』。その他の著書に『星か花を』、共著に『いまドキ語訳越中万葉』『トリビュート百人一首』がある。
