(写真提供:Photo AC)
文化庁が公表した令和6年度「国語に関する世論調査」によると、「潮時」の意味について、辞書等で本来の意味とされてきた「ちょうどいい時期」と答えた割合は41.9%だったそう。時代の流れで日本語が変化していくなか、新聞や雑誌、書籍などあらゆる媒体の誤字脱字を拾い上げ、言葉の精度を極限まで高めているのが「校閲記者」たちです。そこで今回は、産経新聞からテレビ番組のテロップまで、多岐にわたる媒体の校閲を一手に担う産経編集センター校閲部の校閲記者が連載するコラムを書籍化した『いじわるな日本語 ~校閲の現場から~』より一部を抜粋し、日本語の奥深さをご紹介します。

「すっぱ抜く」の「すっぱ」って何? 

「すっぱ抜く」という言葉があります。意味は、隠し事や醜聞、不祥事を暴いて明るみに出すことです。

ところで、「すっぱ」とは一体何のことでしょう? 「スッパーン」と目にも止まらぬ速さで人の秘密を奪い取ることから来る擬音かな、と考えている人が多いかもしれません。

さにあらず、「すっぱ」は忍者のことです。漢字だと「透破」(または「素破」)と書きます。

「忍者」の呼称が定着したのは、時代小説や映画、漫画で人気を博した昭和30年以降であり、江戸時代までは統一した呼称はなく、「忍び」「乱破」「草」「伺見(うかみ)」「間者」「隠密」「奪口」「軒猿(のきざる)」「聞者役(ききものやく)」「黒はばき」「物見」「早道之者(はやみちのもの)」「三ツ者」「間士」「かまり」など、地方によりさまざまな異称がありました。「透破」はそのうちの一つであり、戦国時代、甲斐国の武田家に仕えた忍者集団である甲州透破が有名です。

「透破(忍者)」が目にも止まらぬ早わざで情報を得るさまから、「すっぱ抜く」という言葉ができたというわけです。