物語の引力の根っこにあるもの

物語というのは、登場人物たちが物語に都合よく生きているのではない。
登場人物たちが己の命を生きているから物語が動くのだ。
誰かの都合で動かされた物語には、ひとの心を奪う力はない。


この物語がこれほどまでにひとを惹きつけるのは、茅田さんがすべての登場人物に愛を注ぎ、敬意を払っているからだろう。
そして物語に対して少しの驕(おご)りも持ち込まないという強い矜持(きょうじ)を感じる。
その姿勢は第一部以降も、外伝含めすべてにおいて、少しも損なわれていない。
この物語の引力の根っこは、茅田さんの公正かつ真摯な心にある。


これから第二部へと進まれる読者の方たち、安心して欲しい。
デルフィニア戦記が、茅田さんがあなたの心を裏切ることは絶対にない。
あなたは彼らと思うぞんぶん、心ゆくまで生きることだろう。
そこで見る世界はあまりにうつくしく力強く、あなたの心を揺さぶるだろう。
そしてその感動は、何年経とうとも決して色褪(いろあ)せることはない。


わたしの魂の欠片はいまも、デルフィニアにいる。


デルフィニアのどこかで、会いましょう。

 

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『新装版 デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士1』
『新装版 デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士2』
『新装版 デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士3』
『新装版 デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士4』(すべて 著:茅田砂胡/中央公論新社)

『52ヘルツのクジラたち』
『星を掬う』
『わたしの知る花』
『彼女たちは楽園で遊ぶ』(著:町田そのこ/中央公論新社)
 

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