あの手この手で

さてここからがシュミット=ニールセンがサハラ砂漠でやった研究です。彼はまずラクダの体温を測りました。ラクダは恒温動物で体温が一定に保たれています。とはいえ恒温動物でも体温は昼間は高く夜は少々低い。人間もラクダもそうで、ラクダの体温は最高が38度、最低が36度で、変動幅は1日に二度ほどです。

ところがラクダに水を与えないと、体温は午後には41度にも上がり、逆に明け方には34度にも下がってしまいました。体温が7度も変わる。つまり水がないとラクダは変温動物になっちゃうんですね。ただしそれは限定的で、体温が41度を超えそうになると、初めて汗をかきはじめ、体を冷やしてそれ以上にならないようにします。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

体温が高くなったということは、体に熱が溜め込まれたということです。この溜め込んだ熱は、夜間に冷えた外気中へと放出されるので、汗をかかずに熱を処理できます。こうやって暑い日にかく汗の量、つまり水を失う量をラクダは3分の1にも減らしています。

出ていく水としては汗の他に尿がありますね。ラクダはわれわれの尿より2倍濃い尿を作って水が逃げないようにしています。そしてその尿もただでは捨てません。あの長い肢に尿をかけて蒸発させ、気化熱で体を冷やします。尿を汗がわりに使うんですね。

またラクダの糞は、水分含量がわれわれのものの半分以下です。だから糞が良い燃料になる。こんなふうに、ラクダはあの手この手で水の失われるのを防いでいます。