演出の森さんは本当に勉強家で、シーンの解釈とか、このセリフのベクトルはこうだとか、とても細かく話してくださいます。だから彼のシェイクスピアについての《講義》を聞くだけでも、本当に楽しいんです。

そしていつも私たちと同じ土俵に立って、トライアンドエラーを受け入れてくれる。みんなで忌憚なく意見を出し合い、アイデアを持ち寄ることができるので、稽古も楽しくて仕方ありません。

まさにみんなで一緒に作り上げていく感じがあって、カンパニーがいい一体感になるんです。だからもう、永遠に稽古が続いてほしいと思うくらい。(笑)

本番が始まってからも、観客のみなさまのリアクションで発見することもありますし、本番中に「あっ、このセリフ、このベクトルじゃないな」と気づいたりもする。その瞬間が数多くあるのが、シェイクスピア劇の面白さだし、深さだと思います。

シェイクスピアの作品は、観客と《共犯関係》を結んでいくものが多いんですよ。登場人物が、観客に向けて語りかけて進みますから。ただ、ときとして観客すら裏切り、観客に嘘をつく瞬間がある。

リチャード三世は、誰に対しても大芝居を打っていきますが、それが嘘かまことか――。そこも、この作品の面白さだと思います。

正直、シェイクスピア劇に取り組むのは苦しいです。なにせセリフが膨大で、そのセリフと体を連動させなくてはならない。でも、苦しければ苦しいほど、やりがいがあって、手ごたえが大きいのも事実です。

映像の仕事も大好きですが、舞台もやめられないなと、あらためて感じています。

 

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